先輩・・・名無し


高校二年生の二学期が終わる頃、俺の高校で財布やら小物やらの盗難が相次いだのよ。
外部の者の仕業の可能性も十分あり得る、って感じでもう先生はピリピリしてたのね。
んで、財布やら大事な物は学校の貴重品袋に入れて職員室に置いておけってことに相成った次第。

まぁ、そんな中俺は学校が終わると図書室に行って勉強をするいい子ちゃんだったワケ。
ある日、図書室もそろそろ閉まるって頃に、教室に柔道着を置いたまんまだったことを思いだしたのな。
その頃になるともう周りは暗くなってるんで、怖がりの俺はどうも落ち着かないのよね。

ささっと教室に入ってささっと柔道着とってささっと帰ろう!

こんな感じでスタスタ教室に向かってると、電気が付いてるの。
なんだ、誰かいるのかぁ、と思って教室に入ると、誰もいないの。
消し忘れかよ、って思いながら柔道着を取って鞄に入れてたら、窓際の席に女子が伏せてるんだよ。
あっ、全然気づかなかった・・・まぁいいやって感じですぐに帰ろうとしたわけね。

まぁ、その日はすぐに帰りました。

それからちょっとした日、図書室での勉強を終えて、帰る時に校内の自動販売機でホットジュースを買おうと思ったの。
そしたら、財布をどっかに忘れてることに気が付いたの。あれ〜?ってちょっと悩んで、まず職員室に行ったの。
自分のクラスの貴重品袋を見たけど、何も入ってない。先生に訊いても、わからない。(当たり前か
それでまぁ、教室も見てみるかと思って教室に行ったら、この前と同じ状況。電気は付いてて、女子が一人伏せてる。
こいつ大丈夫なのか?って感じでその女子を見て、初めてうちのクラスの女子じゃないや、って気づいたんだ。

んで、ゴソゴソ机回りを探したけど・・・ない。ロッカーには入れた覚えが全くない。
なんか不安になって来るのよ、気が小さいから。無くしたのかな?というか、盗られたのかな?
こう思ってると、物音がしたのよ。俺は伏せてた女子が動いたんだなってすぐに判ったので、意識的にそっちを向かなかった。
そんな状態で同じ場所をずっと探し直してたのね。

「なんかさがしてんの?」

いきなりこう言われたので、ビクッって動いてしまったんだよ。歩いてていきなり車のクラクション鳴らされた時のあの感じ。
あぁ〜、恥ずかし〜、って心の中でうめきながら
「ん あぁ 財布」
俺はいつも不良系の男子と話す時や、女子と話すときは妙に緊張して口数が減ってしまう癖があるの。
んで、ゴソゴソ机の中をいじりながら、なんか気まずいと感じて、教室を出てロッカーの方に向かったんだ。
ま、そこに財布がないのはわかってたんだけど、なんか教室には女子がいるしな〜、と思ってロッカーを整理してた。
あ〜もぅどうしよ〜 あ〜もぅどうしよ〜
とにかく焦って焦ってしょうがなかった。
そうして迷ってる間に、教室の方から足音がするの。
さっきの奴どこに行くんだ・・やっと帰るのかな?
こう思って、耳に意識を集中させてた。

するとこっちの方に近づいてきて
「手伝おうか?」
とあっけらかんに言いやがった。声に魂が入ってねぇなこいつとか心の中で愚痴を言いながらも俺は実は焦ってしまってた。
「ん あぁ」
と一言だけしか言えなかった。
「机にもロッカーにもないん?」
とまた魂のない声で訊いてくる。
「あぁ なぃ」
またしてもボソッとしか呟けず、少し自己嫌悪に入る。

だいたいなんでこいつは俺に馴れ馴れしいんだ?だいたい関連性ねぇし。まさかこいつが盗んだんじゃないか?
心の中でこんな感じのことが次から次へと浮かんできた。(ちなみに、当時の俺の口癖は 関連性ねぇし だった

だいたいこの女は突っ立って見てるだけで全然手伝おうとしていない。
「ないみたいやけぇ、もう帰るわぁ」
こう言おうと思ったんだけど、言い出すタイミングが見つからず、また俺は焦る。
結局しばらくして、
「ないみたいやけぇ、もう帰るわぁ」
思い切って言い出して教室に戻り、鞄を持って、階段の方へ向かった。
そしたらこの女も付いてくるの、教室の電気も付けっぱなしで。
なんで付いてくるんだろう?こいつ鞄持ってないじゃん・・・。
こんな感じでまた俺は焦りだした。けど、必死に表情には出さないようにはしてた。

下駄箱でスリッパを脱いで、靴に履き替えて、さっ帰ろ としたらさっきの女子も靴に履き替えてたワケ。そして
「帰る方向はどっちなん?」
っていきなり訊かれたのよ。

もうこっちは挙動不審になっちゃったのよ。かなり言葉に詰まった覚えがある。
関連性ねぇのに 関連性ねぇのに ってもうオドオドしながら
「あぁ 駅の方やけぇ」
って答えたの。
俺の家は駅からちょっと離れた場所にあるので、歩きで通ってたけど、その女子は遠いので電車通学らしいのね。
そんで、駅まで歩いて(終始無言で)そこで別れた。

その日家に帰ってからはあれこれ考えるワケよ。
もしかしてさっきの女子とは昔の知り合いで、こっちが忘れてただけじゃないのか?だとしたら凄く失礼だだぞ。
とか、もう心配になって落ち着かない。大体財布見つかってねぇしね。

まぁ、話は少し飛ぶんだけど、俺の学校でも学期末にクラスマッチてのをやるの。
普通は学年で分けるんだけど、俺の学校は全学年をごっちゃにして卓球やらバスケやらをやるワケですよ。
クラスごとに卓球にでる選手やらバレーに出る選手やらサッカーに出る選手やらを決める。
俺は運動を好まないタイプなので、とりあえずバレー1種目だけに参加することにした。
するとまぁバレーの出場試合の時間まではずっ〜と暇になったの。
サッカーの試合でも見とこーかってな感じでボ〜ッとサッカーの試合を見てたの。
その時に三人の女子がフラフラ近づいてきて、その中の一人が
「あんた財布見つかったん?」
と言ってきた。まぁ、この間の女子だったんで
「んゃ、見つかってない」
といつも通りの返答をしたの。相手はふ〜ん、って感じでまた三人揃って歩き去って行ったの。
その時に相手の体操服の名前を縫ってある糸が緑色だってことに気づいたの。
俺が二学年の時は一年がオレンジ、二年が赤、三年が緑色なのよ。

あっ先輩なのか!?

って気づいてハッとなってしまった。じゃぁ何であの時二年の部屋にいたんだ?というか、靴履き替えるとき気が付かなかったっけ?
そんなことをまたアレコレ考えていたら、なんというか、惚れてしまったのよその先輩に。
結局、バレーも気が気にならず、クラスマッチ終了。

人間色眼鏡をかけてしまったらもうお終いで、その日からもうウハウハ状態なのです。
あの時声をかけて来たのは俺に惚れたからなのか?今度会うときにはもしかしたら!?
と妄想を膨らませると同時に
三年生だから、すぐ卒業じゃん!?実は彼氏とかいるのでは?ただ単に誰にでも声をかけるような性格なのでは?
と焦りに焦って心配したりもしました。

とりあえず、二学期中に勝負をかけなくては!

とは言っても、きっかけがないとどうにもこうにもできない行動力の弱い自分。
という訳で、簡単な作戦を立てたのです。

まず毎日図書室で勉強し終わったら教室に寄る。
そして、彼女が伏せているかどうか確かめる。
んで、いた場合、紛失していた財布が見つかったので(本当は見つかっていない)、お礼に奢りたいと伝える。

こんな感じの作戦なら自然にお近づきになれると思い、放課後図書室に行くと、彼女がいたのよ。
本当に、やったぁ!と思ったよ、顔には出さないけど。どうやら一人で勉強してるみたいだったの。
距離を取って座って、彼女が帰る時に声をかけよう、と待ち伏せしてたのよね。
でも中々帰らない。最後までいるつもりかぁ、そろそろ閉まるぞぉ、という時にやっと帰る準備を始めたのよ。
ただし、今こっちも帰る準備を始めたら怪しまれる、と自意識過剰になり、しばらく様子を見る。
んで、上手い具合に身支度を整えて、その先輩を急いで追っかけたワケですよ。

下駄箱に他の生徒がいたらきっと声を掛けるどころじゃなかっただろうけど、丁度彼女だけ。
今を逃したら後悔してエラいことになる!って思い込んで、もう勢いで声を掛けたのよ。
「あの 財布見つかりました」
まぁいきなりこんなこと言われたら面食らうのも当然だろうに、ちょっとキョトンとされてしまった。
「あーあーあー」
って、状況を理解して貰えた様なので、一気に畳み掛ける。
「あぁ お礼に奢りますよ」
と言って、もうドキドキ。ジェットコースターの落下し始めた時の感じで、もう逃げ出したくなった。
「えぇ? マジでぇ!?」
とレスポンスのいい返事を貰い、こりゃやったと一気に安堵感に浸ったたの。

何か食事をしようと思ったけど、さすがに一緒に食事をしてるのを見られるのは自分には無理だ。恥ずかしい。
ってので、マクドナルドのハンバーガーを買って、歩きながら食べることに。
手を繋ごう 手を繋ごうって思ってたけど、意気地がなくできず、後々後悔することに。
会話の方は思ったより弾んだので、こうなったら告白もしてしまおうと思うんだけど、機会がない。
公園があればそこがベストと思ったけども、公園もないので、幼稚園の周りにまる細い道の脇に来て
「ココに座りませんか?」
と言いました。もうだいぶ会話にも馴れたので、普通に言い出せたんだよ。
そして、いざ好きだと言おうと思うと、急に喋れなくなってしまうワケよ。何でなのかな?
もうポテトをばくばくと食べてしまい、食事も終了になってね。
「悪いね〜ありがと〜」
ともう相手は帰る態勢に入ってるの。
今日はやめて、今度でいいかなと相当迷いました。んで、もう思い切って
「あぁ それと 好きです」
と呟いたの。いつものトーンに戻ってね。

あ〜やっちゃった〜 って感じで、2人とも固まったのね。
俺も、もう駄目だ失敗だよ〜、今度にしておきゃよかったんだよ〜、いっそのことこのまま抱きつこうか、いや無理だ・・。
って焦ってきて、どんどん緊張していく。
そんな感じの状態がずっと続くのかなぁ、と思ってたら、彼女が やれやれ〜ヽ(´ー` ) って感じで近づいていきなり口を付けてきたの。
あぁっ!って驚いて、そしたら相手はもう口を離してて、「またねぇ」って言って帰っていって・・。
上記の辺りはもう早送りでポンッポンッて感じで、もう何が何やらだったの。

結局、ポカーンと家に帰りながらだんだん実感が沸いて来て、もう興奮し始めるのよね。
成功したっ!彼女ができたっ!キスもしたっ!てね。その日はもう最高に嬉しかった。

でもその先輩とはそれっきりでした( ´・д・)
冬休み後、3学期にまたチャンスを作ろうとしたけど、三年生はすぐ学校に行かなくなるので無理でした。

以上、高校時代のしょ〜もない話でした。

あぁ今日はクリスマスかぁ(;´Д`)

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